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農地転用の申請は自分でできる?手順・必要書類・費用を解説

田中 恵子 / 更新:2026-06-20
農地転用の申請は自分でできる?手順・必要書類・費用を解説
「農地転用の申請って、専門家に頼まないと無理なの?」と不安に思っている方へ。結論から言うと、申請者本人が自分で手続きすること自体は可能です。

ただし、できる・できないは農地の場所(区域区分)と農地の種類で大きく変わります。市街化区域内なら届出で済み、自分でやりやすい。市街化区域外は原則「許可」が必要で、難易度が一段上がります。

この記事では、相続実務サポート12年・農業委員会への転用申請に同行してきた私(田中恵子)が、自分でやる手順・必要書類・費用、不許可になったときのリカバリーまで、専門家に相談する前の「地図」をつくれるように整理します。

農地転用の申請は自分でできる?難易度と所要時間の目安

【農地転用】地目変更登記申請って、自分で出来ますか?土地家屋調査士・宅地建物取引士が解説。石川土地家屋調査士・行政書士・海事代理士事務所。
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まず大前提から。自己所有の農地でも、自由に農地以外へ転用できるわけではありません。農地を農地以外に使うには、原則として農地法上の手続きが必要です。

自分の農地を自分で転用する場合は農地法第4条、農地の権利を他人に移したり設定したりして転用する場合は第5条の対象になります。この区別を最初に押さえてください。

自分でできるケース・難しいケースの見分け方

私の感覚で正直に言うと、自分でやりやすいのは「市街化区域内の届出」です。書類がそろえば、農業委員会へ提出して受理通知書をもらう流れで完結します。

逆に難しいのは、市街化区域外の許可申請で、しかも農地区分が良い(=守られている)農地のケース。ここは書類量も判断も増えるので、初めての方には正直しんどいです。

市街化区域内の届出と市街化区域外の許可申請の違い

両者の違いを表にしました。ここを取り違えると、最初の入り口から迷子になります。

市街化区域内の届出と市街化区域外の許可申請の違い
項目市街化区域内市街化区域外
手続きの種類届出原則として許可
根拠(自己転用の例)農地法第4条第1項第7号農地法第4条
提出・経由先農業委員会農業委員会を経由し都道府県知事等へ
完了の形受理通知書の交付許可通知
自分でやる難易度低め高め

用意する道具・前提条件のチェックリスト

自分で進めるなら、最低限ここを先にそろえておくと早いです。

自分で申請する前の準備チェックリスト
準備するもの用途入手先の目安
土地の登記事項証明書農地の所在・地目・所有者確認法務局
公図土地の位置関係の確認法務局
住宅地図現地の場所を示す資料市販地図・地図サービス
本人確認書類申請者の確認手元の身分証
転用後の計画図何を建てる・どう使うか自分で作成または設計者

事前確認では、登記事項証明書・公図・住宅地図などを持参して農業委員会で確認する方法が案内されています。手ぶらで相談に行くと話が進みません。

農地転用を自分で申請する手順【番号順で解説】

ここからは実際の流れです。許可・届出のどちらも、入り口は農業委員会。まず窓口に相談するところから始まります。

農地転用を自分で申請する手順【番号順で解説】

標準処理期間の目安は、4ヘクタール以下で2〜3か月、4ヘクタール超で6か月〜1年とする実務解説があります。ただしこれは目安で、自治体や案件で変わります。

手順1 農業委員会への事前相談

最初の一歩は、農地のある市区町村の農業委員会への事前相談です。登記事項証明書・公図・住宅地図を持って行きます。

ここで「届出でいけるのか、許可が必要なのか」「そもそも転用できる農地区分か」を確認します。ここまでで方向性が見えていれば正しいスタートです。

手順2 必要書類の準備と取得

事前相談で言われた書類を集めます。登記事項証明書や公図は法務局、計画図は自分または設計者が用意します。

つまずきやすいのはここ。書類の有効期限や、共有農地の場合の同意書など、案件ごとに追加が出ます。相談時にリストを必ずメモしてください。

手順3 申請書の記入と添付書類の作成

申請書(届出書)に、転用の目的・面積・転用後の利用計画を書き込みます。添付図面と数字が食い違わないように、面積・地番は登記事項証明書と突き合わせます。

うまくいかないときは、農業委員会の記入例をもらうのが早道です。窓口に様式と記入見本が置いてあることが多いです。

手順4 窓口への提出と受付確認

そろったら農業委員会へ提出します。届出なら農業委員会で受理、許可申請なら農業委員会を経由して都道府県知事等へ進みます。

提出時に「不足書類はないか」その場で確認してもらいましょう。受付印・受付控えを受け取れていれば、手順4は完了です。

手順5 審査・許可通知の受け取りまで

届出の場合は受理通知書の交付を受けて完了です。許可申請の場合は審査を経て、許可後に通知される流れになります。

宮城県の例では、第4条・第5条の標準処理期間は約60日と案内されています。期間は自治体ごとに違うので、管轄の公式情報で確認してください。

許可通知書(または受理通知書)が手元に届けば、「この手順で農地転用の申請が完了した」状態です。

申請に必要な書類と書き方サンプル

必要書類は届出と許可で変わります。共通して軸になるのは、登記事項証明書・公図・地図です。

申請に必要な書類と書き方サンプル

農地転用届に必要な書類

市街化区域内の届出で軸になる書類を整理します。

農地転用届の主な書類(市街化区域内)
書類役割
農地転用届出書転用の内容を届け出る本体
登記事項証明書農地の所在・地目・所有者の確認
公図位置関係の確認
住宅地図現地の場所を示す
土地利用計画図転用後の使い方を示す

農地転用許可に必要な書類

市街化区域外の許可申請は、届出の書類に加えて計画の裏づけ資料が増えます。事業の確実性や周辺農地への影響を説明する資料が求められます。

少なくとも、自治体の実務では登記事項証明書を含む添付書類が必須です。案件によっては資金計画や排水計画の資料も加わります。

申請書のつまずきやすい記入例と注意点

同行してきて多いミスを挙げます。第一に、地番・面積を登記事項証明書ではなく記憶や固定資産通知書で書いてしまうこと。数字は登記に合わせます。

第二に、転用目的の書き方が漠然としていること。「資材置場」ではなく「何を・どのくらい・どう使うか」まで具体的に書くと審査がスムーズです。

第三に、共有農地で共有者の同意欄を空けたまま提出してしまうこと。ここは後述しますが、共有はとくに注意がいります。

自分でやる場合の費用と専門家依頼の比較シミュレーション

【農地転用と地目変更】手続きについて、土地家屋調査士・宅地建物取引士が解説します。石川土地家屋調査士・行政書士・海事代理士事務所。
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気になるお金の話。自分でやる場合は、基本的に書類取得の実費が中心です。

書類取得にかかる実費の内訳

登記事項証明書の手数料は、民間解説では480円〜とされています。ただしこれは証明書の種別や取得方法で変わるため、法務局の最新手数料で確認が必要です。

自分でやる場合と専門家依頼の費用・時間・手間の比較

私が現場で見てきた感覚も踏まえ、判断材料を表にしました。費用は出典のある範囲で示します。

自分でやる場合と行政書士依頼の比較
報酬相場・手数料は民間解説の目安。公的な全国一律料金ではなく、案件で変動します。
項目自分でやる行政書士に依頼
主な費用書類取得の実費中心報酬10万〜15万円程度+実費
時間(自分の作業)相談・書類集め・記入で多い委任後は少ない
難易度届出は低め/許可は高め代行されるので低い
向いている人市街化区域内の届出市街化区域外の許可・複雑案件

専門家に依頼した方が良いケース

正直に言うと、市街化区域外の許可申請で、農地区分が厳しめ・計画が複雑・相続や共有がからむ案件は、私は専門家依頼を勧めます。

理由は単純で、やり直しの時間ロスが報酬より大きくなりがちだから。逆に市街化区域内の届出だけなら、自分でやる価値は十分あります。

失敗・不許可になった事例と却下されたときのリカバリー

ここが、自分でやるか迷う人がいちばん知りたいところだと思います。無許可転用は重大な法的責任を伴うと複数の実務解説が指摘しています。だからこそ、つまずきパターンを先に知っておきましょう。

失敗・不許可になった事例と却下されたときのリカバリー

自分で申請して不許可になった具体例と原因

私が見てきた典型は、農地区分の確認を飛ばして「申請すれば通る」と思い込んでいたケース。守られている農地は、そもそも転用が認められにくい。ここで止まります。

もう一つは、転用目的と計画の裏づけが弱いケース。資金計画や利用計画があいまいだと、実現性を疑われて進みません。

農地区分ごとの転用可否と難易度

農地は区分によって、転用のしやすさが大きく変わります。ざっくりした目安を表にします。実際の判定は農業委員会で必ず確認してください。

農地区分ごとの転用の目安
最終判断は管轄の農業委員会・自治体の確認が必要です。
区分転用の難易度の目安
農用地区域内農地原則不可に近く難しい
甲種農地厳しい
第1種農地原則不許可で難しい
第2種・第3種農地比較的認められやすい

却下された場合の再申請手順

もし却下されても、終わりではありません。まず、却下理由を窓口で具体的に聞きます。書類不備なのか、区分の問題なのかで打ち手が変わります。

書類不備や計画の弱さが理由なら、指摘点を補強して再提出。区分そのものが原因なら、転用目的や計画の見直し、場合によっては専門家相談に切り替えます。理由をつぶしてから出し直すのが鉄則です。

農地転用の前後で必要になる関連手続きと税金

見落としがちなのが、申請後・許可後の手続きと税金です。ここを知らずに進めると、後でバタバタします。

農地転用の前後で必要になる関連手続きと税金

地目変更登記など申請後の手続き

農地転用が認められ、実際に農地以外になったら、登記上の地目も実態に合わせて変更する地目変更登記が関わってきます。転用の手続きと登記は別物です。

私は司法書士事務所で登記を担当していたので断言しますが、転用の許可・届出だけでは登記簿は自動で変わりません。地目変更は別途必要になります。

工事完了報告など許可後の義務

許可案件では、転用工事が終わった後に完了報告や進捗の報告を求められることがあります。許可が下りたら終わり、ではありません。

許可通知に記載された条件や報告義務は、その場で確認しておきましょう。これを怠ると、後の手続きでひっかかります。

不動産取得税・固定資産税・譲渡所得税への影響

農地が宅地などに変われば、固定資産税の評価が変わり、税負担も変化し得ます。建物を建てれば不動産取得税、農地を売って転用するなら譲渡所得税が関わることもあります。

税額は個別事情で大きく変わるため、ここは具体的な数字を断定しません。心配なら、申請前に税理士や自治体の税務窓口で確認するのが安全です。

開発許可・建築確認など他法令との関係

転用して建物を建てる場合、農地法だけで完結しないことが多いです。規模や地域によっては開発許可、建物には建築確認が必要になります。

農地転用の許可が下りても、別の法令の許可が下りなければ着工できません。事前相談の段階で「他に必要な許認可はないか」も聞いておくと安心です。

自分で申請する前に知っておきたい注意点とコツ

土地の地目変更とは?自分でできる?費用や必要書類【土地家屋調査士が解説】
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最後に、現場で効いてくる実務のコツを。許可申請の窓口は、まず農業委員会です。こことの付き合い方で、進み方がだいぶ変わります。

農業委員会とのやり取り・事前相談の進め方

事前相談は、資料を持って早めに行くのが正解。登記事項証明書・公図・住宅地図を見せながら、「この農地でこの目的、転用できますか」と具体的に聞きます。

私が同行して感じるのは、担当者は敵ではなく案内役だということ。素直に分からないと伝えて記入例をもらう方が、結果的に早く通ります。

相続した農地・共有農地を転用する場合の注意点

相続した農地は、まず名義(相続登記)が済んでいるかを確認します。名義が亡くなった方のままだと、手続きが止まりがちです。

共有の農地は、共有者全員の同意が必要になる場面が多いです。一人でも反対や連絡不通があると進みません。相続・共有がからむなら、私は早めの専門家相談を勧めます。

提出締切や繁忙期を踏まえたスケジュール管理

許可案件は、農業委員会の会議(総会)のスケジュールに乗せて審査が進みます。締切を逃すと、次の回まで丸ごと待つことになります。

建物の着工時期から逆算して、余裕を持って動いてください。標準処理期間の目安が4ヘクタール以下で2〜3か月という実務解説も踏まえ、早すぎるくらいで動くのが安全です。

eMAFF農地ナビなどオンライン申請の活用

近年は農地情報や手続きの電子化が進んでいます。eMAFF農地ナビなどのオンラインサービスで、農地の情報を事前に確認できる場合があります。

ただし対応状況は自治体ごとに差があります。オンラインで完結するか、紙の提出が必要かは、事前相談で必ず確認してください。

よくある質問(FAQ)

最後に、相談でよく聞かれる3つにまとめて答えます。

よくある質問(FAQ)

よくある質問

農地転用の申請を自分でやるとは?
申請者本人が、農業委員会への相談から書類作成・提出までを代行者に頼まず行うことです。市街化区域内は届出、市街化区域外は原則許可で、手続きの重さが違います。届出なら自分でやりやすく、許可は難易度が上がります。
自分でやる場合の費用はいくら?
自分でやる場合は書類取得の実費が中心です。登記事項証明書は民間解説で480円〜とされますが、種別や取得方法で変わるため法務局の最新手数料で確認してください。なお行政書士に依頼すると、民間解説では報酬10万〜15万円程度が目安です。
どこから始めればいい?
農地のある市区町村の農業委員会への事前相談から始めます。登記事項証明書・公図・住宅地図を持参し、届出か許可か、そもそも転用できる農地区分かを確認するのが最初の一歩です。

迷ったら、まずは農業委員会へ資料を持って相談に行く。これが遠回りに見えて、いちばんの近道です。市街化区域内の届出なら自分で十分やれます。許可案件で不安が残るなら、無理せず専門家の力を借りてください。

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こんにちは。この記事について、下の候補から選ぶか、自由に質問できます。

田中 恵子

元司法書士事務所スタッフ(相続・不動産登記担当) ・ 農業委員会への転用申請同行経験あり
相続実務サポート歴12年

司法書士事務所での相続手続きサポート経験をもとに、農地相続・転用の実務を一次情報にあたりながら平易な言葉で伝えます。「難しいことを難しいまま書かない」をモットーに、読者が専門家に相談する前の地図づくりを手伝います。

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